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38歳男性症例報告:繰り返すギックリ腰から座骨神経痛に

― 身体機能の崩壊からフィジーク競技復帰への軌跡 ―

【症例概要】

30代 男性。会社員。 かつてフィジーク競技に心血を注ぎ、自己規律の象徴として肉体を研鑽してきた彼を襲ったのは、突発的な激痛が常態化する「身体システムの崩壊」であった。

【来院に至った経緯】

以前からデスクワークや重い荷物を扱う際に腰の鈍痛を感じることはあったが、一晩眠れば回復する程度であったため、特段のケアは行っていなかった。しかし今年に入り、洗顔時の前傾姿勢という僅かな負荷で激痛が走り、立てなくなるほどの「ぎっくり腰」を発症。その後、月に2回以上のペースで再発を繰り返すようになった。

そのたびに数日間の寝たきりを余儀なくされ、有給休暇を使い果たす事態に「仕事の評価への影響、そして生活そのものの破綻」という強い危機感に襲われたという。さらに深刻だったのは、人生の柱であった筋トレの断念である。医師からは「筋トレは控えるように」と宣告され、目標に向かって努力する喜びを奪われた絶望感から、精神的にも深く落ち込んでおられた。

整形外科での痛み止めや電気治療、整骨院でのマッサージでは根本的な変化を感じられず、左足を引きずるような歩行状態が悪化していく中、「もう一度、重いものを持ち上げられるようになりたい」という一心で、当院に来られた。

【初診時の臨床的解析】

当院における精密な触診および体表温度検査により、以下の機能不全を特定した。

  • 左仙腸関節の機能不全と炎症(浮腫): 骨盤の要石である仙腸関節がロックされ、顕著な浮腫を確認。これが坐骨神経への干渉を招き、跛行(引きずるような歩行)の原因となっていた。
  • 第5腰椎(L5)分離症部位の不安定化: 既往の分離症部位が、骨盤の不安定性を代償できず、脊椎の分節運動に重大なエラーを生じさせていた。
  • 第1頸椎(C1)における神経干渉: 自律神経の統合センターである延髄付近での伝達阻害を確認。個体のホメオスタシス(自己回復力)が著しく停滞している状態であった。

【臨床経過:神経系のリブートプロセス】

ケアの目的は単なる除痛ではなく、機能の「再起動(REBOOT)」に置かれた。

  • 初期集中期(1〜4週): 高頻度のケアにより、まず通信エラー(炎症と浮腫)を抑制。3回目のアジャストメントにより正常な神経伝達が再開され、日常生活における激痛が消失。この段階で管理下でのトレーニング再開を許可した。
  • 機能定着期(5〜12週): 8週目を経る頃には、高負荷のトレーニングを課しても「翌朝には疲労がリセットされている」という、本来の自己修復機能が復元。現在は大会出場という目標に向け、定期的なケアを継続されている。

【考察】

今回は左の仙腸関節の痛みを主訴に来院された。検査では、左仙腸関節に機能不全が確認された。仙腸関節の機能が失われ、神経伝達が正常に行われなくなったことで、長年の負担を体が代償しきれず、痛みという形でSOSを発したと考えられる。

この機能不全は神経系にも影響を及ぼしていた。周辺を通る坐骨神経への圧迫や刺激が増大し、痛みの増悪を招いたと推測される。ケアによって根本原因が解消されたことで、骨盤の安定性が回復し、歩行時の動きが正常化していった。

また、骨盤だけでなく第一頸椎の機能不全もアジャストメントすることで、自律神経の中枢である延髄への神経伝達が正常化し、副交感神経が優位に働くようになった。その結果、脳脊髄液の流れや神経機能が改善され、体表温度検査での数値も正常化した。

サブラクセーション(根本原因)が取り除かれた結果、自律神経系のバランスが整い、心身両面の回復に繋がったと考えられる。このケースは、カイロプラクティック・ケアが単なる痛みの緩和だけでなく、生体機能全体の回復に有効であることを強く確信できた症例であった。

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