完全予約制
54歳女性 20年来の座骨神経痛と不眠症

― 産後の腰椎すべり症から始まった機能不全と、自律神経のリブート ―
【症例概要】
60代 女性。デスクワーク職。 30代の出産を機に「腰椎すべり症」と診断されて以来、20年以上にわたり慢性的な腰痛と坐骨神経痛に悩まされてきた。長年のリラクゼーション通いでも解消されなかった痺れに加え、近年は深刻な「不眠」と全身の筋緊張が重なり、日常生活の質が著しく低下している状態で来院された。
【来院に至った経緯】
産後の診断以来、多忙な育児とデスクワークの中で症状を放置していたが、徐々に右足から左足へと痺れが広がり、肩こりや不眠といった全身症状へ波及。疲労しているにもかかわらず入眠できない、あるいは中途覚醒後に再入眠できないといった「自律神経の乱れ」が、氏を精神的にも追い詰めていた。
本格的な改善を求めて複数の整体院を回ったが、多くの場合、十分な説明がないまま突然「ボキッ」と強い衝撃を加える矯正が行われたという。60代という年齢から骨の強度にも不安を抱えていた氏にとって、事前の合意なき施術は恐怖でしかなかった。
「なぜこの矯正が必要なのか、今の自分の体はどうなっているのか」という納得のいく説明と、科学的な根拠に基づいたケアを求めて検索を重ねる中、当院の「丁寧な検査と説明」を重視する方針に一筋の希望を見出し、来院を決意された。
【初診時の臨床的解析とサブラクセーションの特定】
精密な触診(パルペーション)および体表温度検査により、以下の神経学的・構造的不全を特定した。
- 骨盤部(右仙腸関節・S3)の高度な機能不全: 骨格の土台である仙骨・仙腸関節に顕著な浮腫と可動域制限を確認。さらに、神経伝達の異常(サブラクセーション)の二次的反応として、該当部位に体毛の濃化や毛穴の目立ちといった皮膚の変化が見られた。
- 副交感神経領域の伝達エラー(C1・L5・S2): 頸椎と骨盤という「副交感神経」が優位となる領域で体表温度の異常を確認。これが全身の過緊張および不眠症状の根本原因であると推測した。
- 脊柱起立筋群の代償的緊張: 骨盤の不安定性を補うために、背部から腰部にかけての筋肉が過剰に緊張し、反り腰を増長させていた。
【臨床経過:神経系のリブートプロセス】
ケアの目的は、筋肉の緩和ではなく「神経伝達の正常化」による自律神経の再構築(REBOOT)に置かれた。
- 初期リブート期(1〜4週): 週1回の精密なアジャストメントを実施。4週目を経る頃には坐骨神経痛が消失し、長年悩まされていた「不眠」が解消。副交感神経が正常に機能し始めたことで、睡眠による自己修復が可能な体へと変化した。
- 機能定着期(7〜14週): 痺れはほぼ消失。日常生活で腰を意識することが無くなり、家族からも「痛みを訴えなくなった」と指摘されるほどに回復。長時間のデスクワーク後の疲労も、翌朝にはリセットされる状態へと至った。
- メンテナンス期(現在): 定年を控えた仕事と、故郷での介護を両立させる多忙な日々を送るが、定期的なケアによりベストコンディションを維持。大きな崩れを起こさない「強い体」を取り戻されている。
【考察】
本症例の根本原因は、出産を機に生じた仙腸関節の不安定性が20年以上にわたり放置され、慢性的なサブラクセーション(神経伝達異常)へと移行した点にある。 リラクゼーションによる一時的な筋肉の緩和は、神経系の不全という根本原因を覆い隠し、結果として自律神経のバランスを崩壊させ、不眠や広範囲の疼痛を招いたと考えられる。
カイロプラクティックにおいては、交感神経と副交感神経を厳密に区別して評価する。本症例では副交感神経支配領域(骨盤・頸椎)に顕著なサブラクセーションが確認されたため、ここを重点的にアジャストメントした。これにより、脳へ正確な情報が送られるようになり、ホルモンバランスおよび神経機能が正常化、不眠の解消と痛みの緩和が同時に実現したと推測される。
正確な検査に基づき、原因を特定し、正しくサブラクセーションを取り除く。そうすれば、長年の症状であっても、患者自身の「自然治癒力」が再び駆動し始める。本症例は、カイロプラクティックの原則の重要性を再確認させる貴重な臨床例である。



