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繰り返す急性腰痛(ぎっくり腰)と慢性腰痛に対するカイロプラクティック的アプローチ

【患者特性】

  • 年齢・性別:60代 男性
  • 主訴:慢性的な腰痛、および定期的に繰り返す急性腰痛
  • 既往歴:特記事項なし

【来院に至った経緯】

30代より年に一度の周期で「ぎっくり腰」を繰り返してきた症例である。その都度、近隣の治療院にて対症療法を受けてきたが、根本的な解決には至っていなかった。

現在はデスクワークが中心であり、夕方には腰部の重だるさが常態化。立ち上がり時の鋭い痛みも慢性化していた。出張や転勤が多く、各地で異なる治療を受けてきた背景から「その場しのぎ」のケアに終始していたが、今回の転勤に伴う発症では、2週間経過しても不快感や張りが消失せず、仕事への集中力低下や将来への危機感を抱き、根本改善を目的として当院に来院された。また、近年は夏場でも足先に強い冷えを感じるという新たな症状も併発していた。

【初診時の状態・検査所見】

  • 視診:左耳介上方、左短下肢
  • 触診(静的・動的)
    • 左上後腸骨棘(PSIS)上端内縁にくぼんだ浮腫および圧痛
    • 右脊柱起立筋の過緊張、下部腰椎の熱感と色素沈着
    • 可動域制限(FIX):左仙腸関節
  • 整形外科的テスト
    • 頚部:バレリュー(-)、マイグネ(-)
    • 腰部:SLR(-,-)、ケンプテスト(-,-)
  • 体表温度検査:左仙腸関節、L5、C6、C1に有意な温度差を確認
  • リスティング:左PIEX(後下方外方変位)

【経過と内容】

検査結果に基づき、週1回の頻度でケアを開始した。

  • 3週目(第4回アジャストメント): 仙腸関節部の浮腫が収縮。急性期の痛みは消失したが、長時間着席時の重だるさは残存。
  • 9週目(第10回アジャストメント): 体表温度検査が安定し、浮腫・圧痛ともに消失。日常的な不快感がほぼ払拭された。患者自身の健康意識が高まり、パーソナルトレーニングを併用し始める。ケア頻度を2週に1回へ移行。
  • 12週目(第14回アジャストメント): トレーニング後も腰の状態は安定。長年悩んでいた「足先の冷え」も自覚症状がないまでに改善し、活動的な生活を取り戻した。

現在は良好な状態を維持するため、定期的なメンテナンスケアを継続中である。

【考察】

本症例における慢性腰痛および急性増悪の要因は、長期間にわたる仙腸関節の可動域制限にあると推察される。

仙腸関節の可動性が失われることで生じる代償作用が、構造的に回旋ストレスに弱い腰椎椎間板に継続的な負荷を与え、変性を招いていたと考えられる。この椎間板の変性が神経圧迫(サブラクセーション)を引き起こし、身体の自己治癒力が阻害される悪循環に陥っていた。

正確なアジャストメントにより仙腸関節の機能が正常化された結果、自律神経系の働きが安定。特筆すべきは腰痛だけでなく「冷え」の改善が見られた点である。これは骨盤部の神経圧迫が解消されたことで、脳と末梢の情報の往来が正常化し、適切な血流制御が行われるようになった結果と言える。

本症例を通じて、複数の検査に基づく根本原因の特定と、神経系への正確なアジャストメントが、長年の慢性症状を打破するために不可欠であることを再確認した。

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